面倒臭い二人(1/1)
2018.09.07.Fri.
<「宙ぶらりん」→「愛で殴る」>
金曜の夜、塾に行った帰り友達の家に泊まる、と親に嘘をついて先生の家に泊まることが当たり前になった。
最初の頃は親に悪いと先生はかなり渋っていたけど、じゃー俺が卒業するまで清く正しい交際をしましょうって言ったら、俺の服の裾を掴んで「悪かった」って。先生はしっかり大人なんだけど、たまにすっごくかわいくなる。
今日も塾終わり、先生の車に乗り込むや否や、
「ちゃんと勉強してきたか?」
このあと教え子とイチャイチャするくせに、教師面で訊いてくるのはやっぱり罪悪感からなんだと思う。
「人生で一番勉強してる」
「受験生なんだから当たり前だぞ」
「高校受験でもこんなしなかったもん」
「後悔のない、ようにな」
先生がちょっと言い淀んだ。先生の考えそうなことといったら、自分と付き合うことで俺の人生になにか悪影響が出てそれを後悔するんじゃないかと、たぶん、そんなくだらない心配をしたんだと思う。
「志望校も、一日何時間勉強するか、誰と付き合って、なにをしたいか、全部俺が決めてんだから、絶対後悔しないよ」
「うん」
先生の膝に手を乗せた。先生も手を重ねてきた。
もう何回もセックスしたのにまだ照れた顔をする。こんなにかわいい大人がいていいのか。横顔見てたらムラムラしてくる。次の赤信号でキスしようかな。マンションつくまでずっと先生のちんこ触っててやろうかな。どっかそのへんに停めて、カーセックスとか。
想像したら股間に血液が集まりだした。結局部屋まで待てなくて、駐車場に車をとめた先生に「口でして」ってお願いしてしまった。
「ばかお前っ、こんなところで」
「先生がかわいいのが悪い」
「俺のどこがっ?!」
「自覚してないところとか」
う、と先生は顔を真っ赤にして口ごもる。そして「今日だけだぞ」と俺の股間に顔を寄せてきた。開放された途端弾き出た俺のちんこを先生が口に咥える。目の前で上下に動く頭。聞こえてくる先生の息遣いと、卑猥な水音。
俺のわがままをきいてくれる優しい先生。だから元カノに逃げられちゃうんだよ。俺がたぶん、そうだった。
俺は由衣子の望みならなんだって聞いてあげた。会いたいと言われれば夜中でも原付飛ばして会いに行ったし、由衣子がお泊り旅行したいって言ったからバイトして金溜めて連れて行った。メールの返事が遅いことも、電話してもすぐ出てくれないことも「私には私の生活があるの。束縛しないでよ」って言われたから文句も言わなかった。
由衣子の言う通りにしてたのに、由衣子は他校の奴と付き合ってた。俺がメールしたときも、電話したときも、俺が汗水流してバイトしてた時も、由衣子は他の男と一緒だった。
友達に由衣子が浮気してるって言われるまで気づかなかった。問い詰めたら由衣子はあっさり認めた。
「私ってそういう女なの。それでもいいなら、まだ付き合ってもいいけど?」
馬鹿にするなって当然怒るじゃん。別れろって。
「悪いけど、あっちと別れろって言うなら、水沢を切るから。あんたって、優しい彼氏面して私の言いなりだったけど、それって優しさでもなんでもないから。私への責任転嫁と同じだから」
二股かけておいて、まだ言うか、と思ったね。
「お前みたいな女、こっちから願い下げだ」
と、最後の虚勢で由衣子を振った。
言いなりになっちゃいけないと学習した。でも時間が経って、由衣子の言ってる意味もだんだんわかってきた。俺は由衣子任せの恋愛をしてきたんだ。由衣子の言いなりになって楽してた。別れた時も、由衣子の二股が原因だって、由衣子のせいにした。
由衣子にも悪いところはあったけど、俺も自分の要求を通す努力をしてこなかった。我慢して、由衣子の言うことを叶えてあげるのが彼氏の役目だと、思いこんでいたから。
だから次誰かを好きになったときは我慢しないと決めた。俺もわがままを言いたい。それで衝突して喧嘩になってもいい。むしろ喧嘩をしたい。由衣子とは喧嘩したことがなかった。ずっと俺が我慢してたから。喧嘩になりそうになったら、俺が折れてたから。
「先生、嫌ならやめていいからね」
もちろん先生に無理強いをしたくはないので確認をする。上目遣いに俺を見て先生は首を横に振る。ほんとかなぁ。前の俺みたいに我慢してないかな。
「あとで俺もしてあげる」
恥じらって先生が目を伏せる。その顔は嫌がってるふうには見えない。
「先生好きだよ」
咥えたまま「俺も」と先生が答える。
「もう出そうだから、口はなしていいよ」
先生はフェラを続ける。
「いいの?」
頷いたので、先生の口に出した。
車から先生の部屋のベッドへ移動した。
フェラして火がついたのか、先生のほうから積極的に俺に抱きついてキスしてきた。さっき出した俺の味がちょっとする。
「ちょっと、先生、先に口ゆすいでよ」
「あ、ごめん」
と先生は俺からはなれてうがいをしにいく。お前が我慢できずに車でフェラさせたんだろと怒ってくれていいのに。先生は優しい。優しすぎて、ちょっとイラついてしまう。由衣子も俺と付き合ってるときこんな気持ちだったんだろうか。
うがいをして戻ってきた先生をベッドに押し倒す。
「先に俺イッちゃったから、今度は先生の番ね」
先生の股間を露わにして、そこへ口を寄せる。
男のちんこ舐めるとか。いままで想像したこともなかったから自分がする立場になったとき気持ち悪いと思うんだろうかと心配してたけど杞憂だった。先生の勃起したちんこを見たときは、わーっ、他人の勃起したちんこ生で初めて見た!って驚いたけど、躊躇なく握れたし、その熱さにクラクラして、早くイカせてやりたいと思った。
最初にフェラしてくれたのは先生だ。さすがに言いだせずにいた俺の物欲しそうな顔で気付いて「口でしてやろうか?」って。由衣子がしてくれてたのはなんだったんだろうって新天地を見た思い。由衣子は面倒臭そうに、仕方なくって感じだった。今思えばだけど。
先生は口と舌と粘膜、使えるものは全部使って俺を愛撫してくれた。俺の反応見るような遠慮がちな上目遣いもたまんなかった。先生、ほんとに俺のこと好きなんじゃんって、実感できたら、俺もしてあげたくなった。
嫌悪とかぜんぜんなかった。男同士ツボは心得てるから、先生がやってくれたように俺もしてあげて、「イクからっ」って慌てて先生が腰引いた瞬間目の前で精液が噴きあがったのを見たときは感動した。俺も心底、先生が好きなんだって思った。
ちんこをしゃぶりながらローションを出して先生の穴に指を入れる。どこがいいかも、だいたいわかる。指でそこを弄ると先生の体がビクビクと反応を見せる。
「ここ、気持ちいい?」
「いいっ」
思いっきり発情してますって顔で先生が頷く。学校のなかじゃ絶対見られない。俺だけが見てもいい。
先生は男の喘ぎ声なんか聞かせられないと思ってるみたいで抑え気味。
俺もエロ動画見てるとき、男の感じいった声なんか邪魔でしかたなかったけど、先生の声は別だ。エロい。控えめにしようとしてるところはいじらしいけど、俺とのセックスに感じてくれてんだって嬉しくなるからもっと聞かせて欲しい。
「そろそろ入れていい?」
「早く、きてくれ」
急いでコンドームをつける。この前買ったばかりだけど、もう一箱なくなりそう。
コンドームをつけたちんこにもローションを馴染ませて先生の中へ入る。毎回キツくて先生はつらくないのか心配になる。だから最初はゆっくり動く。先生の中はあったかくて気持ちがいい。ずっとこのなかにいたい。
「……あ、もう、大丈夫だから……」
だから、もっと早く動いて。言葉にされなくても先生の言いたいことがわかるようになってきた。先生の足を持ち上げて強めに突きあげる。
「アアッ、あっ、んっ……!!」
大きな声があがる。先生は手で口を塞いだ。
「駄目じゃん、ちゃんと聞かせてくんないと──」
先生の手を剥がそうとして気付いた。左手薬指の爪。よく見ると薄いピンク色で小さなハートが描かれている。
「これ、なに」
先生の手を取った。トロンとした目で先生が自分の手を見る。爪のマニキュアに気付いてハッとした顔をした。
「あ、これは、クラスの……、中野が……」
「中野がなに」
「中野が、俺にも塗ってあげるって。俺は断ったのに」
「ハートマーク描かれてんじゃん」
「俺が頼んだんじゃない」
クラスの中野と言えば一人しかいない。派手めな女子で、先生が断ってもむりやり塗りそうな奴ではある。頭でわかってはいるけど。やっぱりむかつく。
「俺のときもそうだったけど、先生押しに弱すぎ」
「そうか? そんなつもりないけど」
「家行きたいって言われたら、誰だってホイホイ連れてくんだろ」
「しない、そんなこと」
「中野がさ、先生に下心持ってたらどうすんの?」
「ないない」
「ちゃんと断れる?」
「当たり前だろ」
「俺以外の奴が先生の手に触ったってだけでも嫌なのに、爪にこんなの塗られやがって」
由衣子と付き合ってたらこんなこと言えなかった。そういえば俺と一緒にいるのにやたら携帯気にしてるときがあった。セックスしてる最中、メールがきたら俺そっちのけでメールの確認してたっけ。あれって、俺にちんこ突っ込まれながら、本命のイケメン彼氏からのメール待ってたんだろうな。
そんな状態でも、俺は由衣子に文句ひとつ言えなかった。言えば由衣子の機嫌を損ねるから。でももう我慢しないと決めたので、先生には言いたいことを全部言う。
「先生さ、俺と付き合ってるって自覚ある?」
「それ…やきもち……?」
先生が笑っているようにも泣いてるようにも見える微妙な顔で言う。由衣子にやきもちは禁物だった。他の男と喋ってても俺は我慢。やきもち焼いてる素振りを見せたら由衣子に「あたし、あんたのものじゃないんだけど」と溜息をつかれてしまうから。
しかし。由衣子とは別れた。俺は正直に生きる。先生には我慢しない。隠し事もしない。
「そーだよ、先生の彼氏なんだから、嫉妬すんでしょ」
開き直りの心境。本音をぶちまけるって気持ちがいい。
気になる先生の反応はというと、先生は口をムズムズっとさせて、それを隠すみたいに顔を横に向けた。
「こんなの、嫉妬するほどのことじゃないだろ」
あいかわらず横を向いたまま先生が言う。
「本気で言ってる? じゃ、俺も他の奴とイチャつこうかな」
「だめだっ」
ぐるっとこっちを向いて先生が大きな声を出す。望む通りの反応が返ってきて俺の口元が緩む。由衣子にこんなこと言ったら「好きにすれば?」と鼻で笑われていただろう。先生は俺を鼻で笑わない。あしらわない。ちゃんと俺を好きだと態度と言葉で示してくれる。
「嘘だよ。先生が好きなのに、他の奴なんか目に入んないって」
先生にキスする。先生がしがみついてきた。
「ちょっと、そんなに強くくっつかれたら動けないよ」
「ごめん、ごめん」
「なにがごめん?」
「試すみたいなことして、ごめん」
「どゆことさ」
「爪。中野にむりやり塗られたのはほんとだけど、わざと残してた」
「なんで」
「お前の反応みたくて」
「俺の?」
「嫉妬してくれんのかどうか」
「嫉妬するよ、当たり前じゃん」
「うん、ごめん、嬉しい。嬉しい」
チュッチュと俺の顔中にキスしてくる。ほんと、嬉しくてしょうがないって感じに。
「先生こそ、俺の嫉妬うざくない?」
「うざくない。もっとして欲しい」
俺もたいがい面倒臭い男だけど、先生も俺と同じくらい面倒臭い男みたいだ。
よっぽど嬉しかったのか先生は俺の上に乗っかって積極的に動いた。あまりに激しく動くから抜けそうになったことが何度か。
「はあっ、あっ、あっ、イクッ、出るっ」
先生、早くない? 俺の目の前で白いのが噴きあがる。恍惚とした表情の先生を押し倒し、今度は俺が上になった。
「お疲れさま、今度は俺が先生気持ちよくしてあげる」
腰を抱え上げ、ガンガン奥を突きあげる。射精したばっかの先生のちんこから残りの精液が飛び散る。
「はあっ、ああっ、待っ……水沢っ」
「どしたの、先生」
「奥っ……深すぎっ」
「根本まであったかいよ」
「ううっ、ああぁ」
「もっと奥、入っていい?」
ちょっと不安の混じった目が俺を見る。先生はブルッと武者震いみたいに体を震わせて頷いた。
「いくよ」
「……はぁあ…ッ…あっ、ああっ」
部屋に音を響かせながらちんこを出し入れする。先生の声は止まらない。口を塞ぐことすら忘れている。録音してやろうかな。ハメ撮りとるやつって馬鹿かと思ってたけど、いまその気持ちちょっとわかるわ。
「先生、俺、イクよ」
「ああっ、あっ、いい、ああっ、水沢ぁっ」
セックスの時に名前呼ばれるのって、なんでこんなにクルんだろう。
ベッドの上で先生が爪を弄っていた。爪でガリガリと剥がしている。
「取るのそれ、かわいいのに」
「こんなの残しとくわけないだろ」
ふと思いついて先生の胸に思いっきりすいついた。
「痛えっ、なにすんだよ」
「それのかわりに、俺が残しといてあげるよ」
先生の胸に赤い吸いあと。強く吸い過ぎて真っ赤だ。
先生はそれを茫然と触った。嫌だったかな?
「何日かしたら消えるじゃねえか」
寂しそうに、残念そうにつぶやくもんだから、俺はまた先生を押し倒してしまった。
今夜眠れないじゃん。
最終回最高かよ!
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金曜の夜、塾に行った帰り友達の家に泊まる、と親に嘘をついて先生の家に泊まることが当たり前になった。
最初の頃は親に悪いと先生はかなり渋っていたけど、じゃー俺が卒業するまで清く正しい交際をしましょうって言ったら、俺の服の裾を掴んで「悪かった」って。先生はしっかり大人なんだけど、たまにすっごくかわいくなる。
今日も塾終わり、先生の車に乗り込むや否や、
「ちゃんと勉強してきたか?」
このあと教え子とイチャイチャするくせに、教師面で訊いてくるのはやっぱり罪悪感からなんだと思う。
「人生で一番勉強してる」
「受験生なんだから当たり前だぞ」
「高校受験でもこんなしなかったもん」
「後悔のない、ようにな」
先生がちょっと言い淀んだ。先生の考えそうなことといったら、自分と付き合うことで俺の人生になにか悪影響が出てそれを後悔するんじゃないかと、たぶん、そんなくだらない心配をしたんだと思う。
「志望校も、一日何時間勉強するか、誰と付き合って、なにをしたいか、全部俺が決めてんだから、絶対後悔しないよ」
「うん」
先生の膝に手を乗せた。先生も手を重ねてきた。
もう何回もセックスしたのにまだ照れた顔をする。こんなにかわいい大人がいていいのか。横顔見てたらムラムラしてくる。次の赤信号でキスしようかな。マンションつくまでずっと先生のちんこ触っててやろうかな。どっかそのへんに停めて、カーセックスとか。
想像したら股間に血液が集まりだした。結局部屋まで待てなくて、駐車場に車をとめた先生に「口でして」ってお願いしてしまった。
「ばかお前っ、こんなところで」
「先生がかわいいのが悪い」
「俺のどこがっ?!」
「自覚してないところとか」
う、と先生は顔を真っ赤にして口ごもる。そして「今日だけだぞ」と俺の股間に顔を寄せてきた。開放された途端弾き出た俺のちんこを先生が口に咥える。目の前で上下に動く頭。聞こえてくる先生の息遣いと、卑猥な水音。
俺のわがままをきいてくれる優しい先生。だから元カノに逃げられちゃうんだよ。俺がたぶん、そうだった。
俺は由衣子の望みならなんだって聞いてあげた。会いたいと言われれば夜中でも原付飛ばして会いに行ったし、由衣子がお泊り旅行したいって言ったからバイトして金溜めて連れて行った。メールの返事が遅いことも、電話してもすぐ出てくれないことも「私には私の生活があるの。束縛しないでよ」って言われたから文句も言わなかった。
由衣子の言う通りにしてたのに、由衣子は他校の奴と付き合ってた。俺がメールしたときも、電話したときも、俺が汗水流してバイトしてた時も、由衣子は他の男と一緒だった。
友達に由衣子が浮気してるって言われるまで気づかなかった。問い詰めたら由衣子はあっさり認めた。
「私ってそういう女なの。それでもいいなら、まだ付き合ってもいいけど?」
馬鹿にするなって当然怒るじゃん。別れろって。
「悪いけど、あっちと別れろって言うなら、水沢を切るから。あんたって、優しい彼氏面して私の言いなりだったけど、それって優しさでもなんでもないから。私への責任転嫁と同じだから」
二股かけておいて、まだ言うか、と思ったね。
「お前みたいな女、こっちから願い下げだ」
と、最後の虚勢で由衣子を振った。
言いなりになっちゃいけないと学習した。でも時間が経って、由衣子の言ってる意味もだんだんわかってきた。俺は由衣子任せの恋愛をしてきたんだ。由衣子の言いなりになって楽してた。別れた時も、由衣子の二股が原因だって、由衣子のせいにした。
由衣子にも悪いところはあったけど、俺も自分の要求を通す努力をしてこなかった。我慢して、由衣子の言うことを叶えてあげるのが彼氏の役目だと、思いこんでいたから。
だから次誰かを好きになったときは我慢しないと決めた。俺もわがままを言いたい。それで衝突して喧嘩になってもいい。むしろ喧嘩をしたい。由衣子とは喧嘩したことがなかった。ずっと俺が我慢してたから。喧嘩になりそうになったら、俺が折れてたから。
「先生、嫌ならやめていいからね」
もちろん先生に無理強いをしたくはないので確認をする。上目遣いに俺を見て先生は首を横に振る。ほんとかなぁ。前の俺みたいに我慢してないかな。
「あとで俺もしてあげる」
恥じらって先生が目を伏せる。その顔は嫌がってるふうには見えない。
「先生好きだよ」
咥えたまま「俺も」と先生が答える。
「もう出そうだから、口はなしていいよ」
先生はフェラを続ける。
「いいの?」
頷いたので、先生の口に出した。
車から先生の部屋のベッドへ移動した。
フェラして火がついたのか、先生のほうから積極的に俺に抱きついてキスしてきた。さっき出した俺の味がちょっとする。
「ちょっと、先生、先に口ゆすいでよ」
「あ、ごめん」
と先生は俺からはなれてうがいをしにいく。お前が我慢できずに車でフェラさせたんだろと怒ってくれていいのに。先生は優しい。優しすぎて、ちょっとイラついてしまう。由衣子も俺と付き合ってるときこんな気持ちだったんだろうか。
うがいをして戻ってきた先生をベッドに押し倒す。
「先に俺イッちゃったから、今度は先生の番ね」
先生の股間を露わにして、そこへ口を寄せる。
男のちんこ舐めるとか。いままで想像したこともなかったから自分がする立場になったとき気持ち悪いと思うんだろうかと心配してたけど杞憂だった。先生の勃起したちんこを見たときは、わーっ、他人の勃起したちんこ生で初めて見た!って驚いたけど、躊躇なく握れたし、その熱さにクラクラして、早くイカせてやりたいと思った。
最初にフェラしてくれたのは先生だ。さすがに言いだせずにいた俺の物欲しそうな顔で気付いて「口でしてやろうか?」って。由衣子がしてくれてたのはなんだったんだろうって新天地を見た思い。由衣子は面倒臭そうに、仕方なくって感じだった。今思えばだけど。
先生は口と舌と粘膜、使えるものは全部使って俺を愛撫してくれた。俺の反応見るような遠慮がちな上目遣いもたまんなかった。先生、ほんとに俺のこと好きなんじゃんって、実感できたら、俺もしてあげたくなった。
嫌悪とかぜんぜんなかった。男同士ツボは心得てるから、先生がやってくれたように俺もしてあげて、「イクからっ」って慌てて先生が腰引いた瞬間目の前で精液が噴きあがったのを見たときは感動した。俺も心底、先生が好きなんだって思った。
ちんこをしゃぶりながらローションを出して先生の穴に指を入れる。どこがいいかも、だいたいわかる。指でそこを弄ると先生の体がビクビクと反応を見せる。
「ここ、気持ちいい?」
「いいっ」
思いっきり発情してますって顔で先生が頷く。学校のなかじゃ絶対見られない。俺だけが見てもいい。
先生は男の喘ぎ声なんか聞かせられないと思ってるみたいで抑え気味。
俺もエロ動画見てるとき、男の感じいった声なんか邪魔でしかたなかったけど、先生の声は別だ。エロい。控えめにしようとしてるところはいじらしいけど、俺とのセックスに感じてくれてんだって嬉しくなるからもっと聞かせて欲しい。
「そろそろ入れていい?」
「早く、きてくれ」
急いでコンドームをつける。この前買ったばかりだけど、もう一箱なくなりそう。
コンドームをつけたちんこにもローションを馴染ませて先生の中へ入る。毎回キツくて先生はつらくないのか心配になる。だから最初はゆっくり動く。先生の中はあったかくて気持ちがいい。ずっとこのなかにいたい。
「……あ、もう、大丈夫だから……」
だから、もっと早く動いて。言葉にされなくても先生の言いたいことがわかるようになってきた。先生の足を持ち上げて強めに突きあげる。
「アアッ、あっ、んっ……!!」
大きな声があがる。先生は手で口を塞いだ。
「駄目じゃん、ちゃんと聞かせてくんないと──」
先生の手を剥がそうとして気付いた。左手薬指の爪。よく見ると薄いピンク色で小さなハートが描かれている。
「これ、なに」
先生の手を取った。トロンとした目で先生が自分の手を見る。爪のマニキュアに気付いてハッとした顔をした。
「あ、これは、クラスの……、中野が……」
「中野がなに」
「中野が、俺にも塗ってあげるって。俺は断ったのに」
「ハートマーク描かれてんじゃん」
「俺が頼んだんじゃない」
クラスの中野と言えば一人しかいない。派手めな女子で、先生が断ってもむりやり塗りそうな奴ではある。頭でわかってはいるけど。やっぱりむかつく。
「俺のときもそうだったけど、先生押しに弱すぎ」
「そうか? そんなつもりないけど」
「家行きたいって言われたら、誰だってホイホイ連れてくんだろ」
「しない、そんなこと」
「中野がさ、先生に下心持ってたらどうすんの?」
「ないない」
「ちゃんと断れる?」
「当たり前だろ」
「俺以外の奴が先生の手に触ったってだけでも嫌なのに、爪にこんなの塗られやがって」
由衣子と付き合ってたらこんなこと言えなかった。そういえば俺と一緒にいるのにやたら携帯気にしてるときがあった。セックスしてる最中、メールがきたら俺そっちのけでメールの確認してたっけ。あれって、俺にちんこ突っ込まれながら、本命のイケメン彼氏からのメール待ってたんだろうな。
そんな状態でも、俺は由衣子に文句ひとつ言えなかった。言えば由衣子の機嫌を損ねるから。でももう我慢しないと決めたので、先生には言いたいことを全部言う。
「先生さ、俺と付き合ってるって自覚ある?」
「それ…やきもち……?」
先生が笑っているようにも泣いてるようにも見える微妙な顔で言う。由衣子にやきもちは禁物だった。他の男と喋ってても俺は我慢。やきもち焼いてる素振りを見せたら由衣子に「あたし、あんたのものじゃないんだけど」と溜息をつかれてしまうから。
しかし。由衣子とは別れた。俺は正直に生きる。先生には我慢しない。隠し事もしない。
「そーだよ、先生の彼氏なんだから、嫉妬すんでしょ」
開き直りの心境。本音をぶちまけるって気持ちがいい。
気になる先生の反応はというと、先生は口をムズムズっとさせて、それを隠すみたいに顔を横に向けた。
「こんなの、嫉妬するほどのことじゃないだろ」
あいかわらず横を向いたまま先生が言う。
「本気で言ってる? じゃ、俺も他の奴とイチャつこうかな」
「だめだっ」
ぐるっとこっちを向いて先生が大きな声を出す。望む通りの反応が返ってきて俺の口元が緩む。由衣子にこんなこと言ったら「好きにすれば?」と鼻で笑われていただろう。先生は俺を鼻で笑わない。あしらわない。ちゃんと俺を好きだと態度と言葉で示してくれる。
「嘘だよ。先生が好きなのに、他の奴なんか目に入んないって」
先生にキスする。先生がしがみついてきた。
「ちょっと、そんなに強くくっつかれたら動けないよ」
「ごめん、ごめん」
「なにがごめん?」
「試すみたいなことして、ごめん」
「どゆことさ」
「爪。中野にむりやり塗られたのはほんとだけど、わざと残してた」
「なんで」
「お前の反応みたくて」
「俺の?」
「嫉妬してくれんのかどうか」
「嫉妬するよ、当たり前じゃん」
「うん、ごめん、嬉しい。嬉しい」
チュッチュと俺の顔中にキスしてくる。ほんと、嬉しくてしょうがないって感じに。
「先生こそ、俺の嫉妬うざくない?」
「うざくない。もっとして欲しい」
俺もたいがい面倒臭い男だけど、先生も俺と同じくらい面倒臭い男みたいだ。
よっぽど嬉しかったのか先生は俺の上に乗っかって積極的に動いた。あまりに激しく動くから抜けそうになったことが何度か。
「はあっ、あっ、あっ、イクッ、出るっ」
先生、早くない? 俺の目の前で白いのが噴きあがる。恍惚とした表情の先生を押し倒し、今度は俺が上になった。
「お疲れさま、今度は俺が先生気持ちよくしてあげる」
腰を抱え上げ、ガンガン奥を突きあげる。射精したばっかの先生のちんこから残りの精液が飛び散る。
「はあっ、ああっ、待っ……水沢っ」
「どしたの、先生」
「奥っ……深すぎっ」
「根本まであったかいよ」
「ううっ、ああぁ」
「もっと奥、入っていい?」
ちょっと不安の混じった目が俺を見る。先生はブルッと武者震いみたいに体を震わせて頷いた。
「いくよ」
「……はぁあ…ッ…あっ、ああっ」
部屋に音を響かせながらちんこを出し入れする。先生の声は止まらない。口を塞ぐことすら忘れている。録音してやろうかな。ハメ撮りとるやつって馬鹿かと思ってたけど、いまその気持ちちょっとわかるわ。
「先生、俺、イクよ」
「ああっ、あっ、いい、ああっ、水沢ぁっ」
セックスの時に名前呼ばれるのって、なんでこんなにクルんだろう。
ベッドの上で先生が爪を弄っていた。爪でガリガリと剥がしている。
「取るのそれ、かわいいのに」
「こんなの残しとくわけないだろ」
ふと思いついて先生の胸に思いっきりすいついた。
「痛えっ、なにすんだよ」
「それのかわりに、俺が残しといてあげるよ」
先生の胸に赤い吸いあと。強く吸い過ぎて真っ赤だ。
先生はそれを茫然と触った。嫌だったかな?
「何日かしたら消えるじゃねえか」
寂しそうに、残念そうにつぶやくもんだから、俺はまた先生を押し倒してしまった。
今夜眠れないじゃん。
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